レーシックの種類によって適正が異なるブログ:221206
前、ふた月振りに母親が帰ってきた。
「お父さんの還暦祝いをするんだけど、来てくれる?」
父の勤務地が変わって、
母親は父と池袋へ行ってしまった。
そして、母親はときどき一人で池袋に帰ってくるのだ。
母親が戻る日…
わたしは仕事で休めなそうにないから無理だと言うと、
母親は寂しそうな顔で家を出ていった。
わたしは家で一人ぼっちになると、
母親には悪いことをしたなぁ…と後悔した。
沈んだ気分を吹き飛ばしたくて
わたしはテレビをつけた。
司会者とゲストが楽しそうにおしゃべりしている。
その遣り取りで、
わたしはゲストが司会者から電報を受け取っているのが気になった。
「そういえば、電報という手があるな!」
父の還暦祝いに、
わたしは真っ赤な鳳凰が羽ばたいているデザインのカードを選んで、
メッセージを添えて贈ることにした。
父の還暦祝いが行われた翌日、
母親から電話がかかってきた。
母親の声はいつもより弾んでいた。
「ありがとう。電報届いたよ。
感情をあまり出さないお父さんの久しぶりの笑顔が見れたわ」
「お父さん、喜んでくれたんやな」
「当り前よ。お父さんね、メッセージを読んでからしばらくの間、
鳳凰にみとれていたわ」
おしゃべり好きの母親の話はいつものように脱線し、
なかなか話が尽きなかったが、
ようやく電話を切ることができた。
母親の声が聞こえなくなると、
今度は父の姿が浮かんだ。
今頃
座敷に胡坐をかいて愉快な顔で
父はビールを飲んでいるのかなぁ…
その横で、あの真っ赤な鳳凰は羽を休めていることだろう…